この度、ARO協議会第12回学術集会を千葉大学亥鼻キャンパスで開催することとなりました。会期は、2025年9月19日(金)・20日(土)の2日間となります。
一般社団法人ARO協議会は、橋渡し研究からスタートし、ライフサイエンス分野におけるイノベーション創出の活性化を求めて2013年に設立されました。「日本全国の医師・研究者は連携して、より深く人間を理解し、より高い精度で疾病を理解し克服する科学を推進せねばならない。」と本協議会の設立趣意に高らかに謳われています。その後、本協議会は、国民の健康と公衆衛生の向上へ貢献することを目的として全国のアカデミアのネットワーク構築を推進してきました。現在は橋渡し研究支援機関や臨床研究中核病院をはじめとする22の機関が法人学術会員となり、堅実な発展を続けております。
さて、ご承知のように、ヒポクラテスの時代から発展してきた医学、自然学は解剖学、生理学、発生学、倫理学とともに発展し、ルネサンスの時代を経て現代へと続いています。そして近年、サイエンスとしての新たな知見とテクノロジーの台頭により新しい医薬品、医療機器、再生医療等製品が誕生し、医療は日々めまぐるしく変化しています。つまり、創薬をはじめとする革新的医療技術の研究開発は時代に合わせた変革が必要です。この変革には、医師・研究者はもとより多くのステークホルダーが登場しますが、アカデミア、企業、規制当局、市民(患者)という単純な構図では語り尽くせない人々が協働して革新的医療技術の創出に挑戦しています。そして新たに生まれるブレイクスルーが医療を変えていきます。このような挑戦は、決してどの時代においても容易ではなかったように、私たちは非常に複雑な社会構造の中で網目のように張り巡らされたネットワークの中でサイエンスとテクノロジーの追求をしているのです。最近の創薬エコシステムは、現代社会の中でさらにこれが進化した形と言えるかと思います。
一方で、この複雑なネットワークを活用するのは人です。私たちは、いつでもどこでも世界の中で繋がることができます。その中で、私たち個人がいかに新しい仕組みを理解しているのかこれを大いに活用できるのかが、私たち自身に問われています。多くの人と協業し、成果を産むというのは決して単純なことではありません。学問が細分化し、サイロの中に留まっていては発展できません。いくつものピースがそれぞれ自ら情報発信をすることで共通の根を張り、共通の言語を話し、共に歩むことが重要なのです。デジタルネイティブが生まれる現代においてその若い力の発想を柔軟に取り入れていくことも大切です。AI時代の到来をどう活用するかも現代の大きな課題です。
私たちは、常にこの複雑なネットワークを築いた現代社会の巨人の肩の上にいるのです。そして、私たちは自身の学問、サイエンス、テクノロジーを共通の基盤の上で発表し、共に歩むことが諸課題を解決するきっかけとなり、次へのブレイクスルーにつながるのだと思います。そこで本学術集会では、『ともに、創る~理想をかたちにするために~』をテーマとしました。 “より深く人間を理解し、より高い精度で疾病を理解し克服する科学を推進する社会”を目指して、医師、研究者のみならず、研究開発に関わる全てのステークホルダーが、職種や立場の垣根を超えて “ともに” 現在の課題を議論し、明日への一歩としていただきたいと思います。本学術集会が、“理想をかたちにするため” のヒントを得ていただけるような、そして共通の根を張り、共通の言語を話し、共に歩むことをすすめる会となれば幸いです。多くの皆さまのご参加を心よりお待ちしております。